世界一幸せな国フィンランド | 私の北欧での暮らし。vol.8 | ポスター屋さんismirai home | 北欧ポスターとインテリア雑貨のお店

2021/05/02 14:59


このコラムでは「私の北欧での暮らし。」 をテーマに、実際に北欧での暮らしを経験した方々の気付きをお届けしていただきます。


三人目のコラムニストはフィンランドのヘルシンキ在住でCAをされているSayakaさん。

幸福度ランキングの高いことで知られる北欧諸国ですが、実際に住んでみるとどうなのでしょうか?

少し意外に感じるような興味深いお話を聞くことができました。




世界一幸せな国フィンランド


 フィンランドは今年2021年、4年連続で世界幸福度ランキング1位を獲得しました。国民に自分の幸福度を尋ねた結果と、国内総生産や社会福祉、個人の自由、汚職の深刻さなどの指標を総合評価して順位を決めるこのランキングですが、目に見えない”幸せ”をデータで説明されてもいまいちピンと来ないと感じる方もいるのではないでしょうか。今回のコラムでは、私が実際に世界一幸せな国フィンランドに住んで感じたことについてお話ししたいと思います。




 私が初めてフィンランドに興味を持ったのは、以前住んでいたドバイでフィンランド人の友人が出来た事がきっかけでした。彼女と出会うまではサンタクロース、北欧デザイン、サウナ、というイメージしかなかったのですが、彼女の話を聞いているうちにフィンランドが高社会福祉国家であること、自然との距離が近いことなどを知りました。私がフィンランドに引っ越すことが決まった2018年は、フィンランドが初めて世界幸福度ランキング1位になった年でもあります。そんな嬉しいニュースや友人からの話を聞いて、期待で胸をいっぱいにさせながらフィンランドへ引っ越す日を心待ちにしていました。




 しかし実際に目にしたフィンランドは、私のイメージとは少し違ったものでした。まず驚いたのは冬の厳しさ。氷点下が続くと聞いていたので寒さを心配していたのですが、フィンランドはセントラルヒーティングが主流なので室内は常にポカポカ暖かく、半袖でも過ごせるくらいです。本当の厳しさは寒さではなくその暗さでした。早い時では午後3時には日が沈んでしまい、日中も分厚くどんよりとしたグレーの雲で覆われた日々が1年の半分近くを占めます。冬場に太陽を見ることが稀なこの国では、スーパーや薬局にビタミンDのサプリが沢山並べられています。


 また、あまり感情を表に出さず無口なフィンランド人は、少し冷たい印象に感じました。街に便利なコンビニや美味しくて安いレストランが沢山あるわけでもなく、買い物の選択肢も限られていてつまらないとさえ思うこともあります。


 世界一幸せな国と聞いて私が勝手に想像していた、笑顔でポジティブな人がいっぱいで、楽しいことで溢れた国とはかけ離れていたのですが、住んでいるうちにフィンランド人の幸福感に世界一幸せな国に選ばれ続ける秘密があるのだと気がつきました。




 前回のコラムで、フィンランドの森のコテージ生活で変化した私の幸福感についてお話ししました。そこで気が付いた、「幸せとは物質的な満足感や達成感ではなく、毎日の生活における家族との時間や自然の中でリラックスする時間というような、心の奥がじんわりと温まるような感覚」ということ。フィンランド人にとってこの感覚は、コテージでの時間だけでなく日常にも当てはまる感覚なんだと思います。多くの事を求めすぎず、日常の小さな事をありがたいと思うことのできるマインドが、世界一幸せな国に選ばれ続ける秘密なのではないでしょうか。


 フィンランドに住んでいると言うと、世界一幸せな国に移住して幸せになった?なんて質問をされることもあります。そこで私はいつも「幸せのハードルが低くなった」と答えます。フィンランドが私を幸せにしてくれるというよりは、上記で述べたような厳しい冬や不便さ、物足りなく感じる瞬間が沢山ある中で、多くのことを求めすぎなくなり、小さなことで心が満たされやすくなったと言った方がいいかもしれません。 




 4月も終わりに近づいたフィンランドは、長かった冬も明け雪が溶け始め、日照時間もぐんと長くなりました。街を歩いていると、まだ外の気温が10度以下にも関わらず、冬の間に浴びれなかった日光を充電するかのように公園でピクニックを楽しむフィンランド人の姿を多く見かけます。長い冬やつまらない国だなんてぶつぶつと文句を言っていましたが、お酒で少し火照った顔で楽しそうに会話する彼らの姿を見ると、背伸びしなくても幸せって感じられるものなんだと再確認させられるのでした。






このコラムを書いてくれたのは



Sayaka Kozawa

 

1992年生まれ。学習院大学文学部在学中にカナダのバンクーバーへ留学し、大学卒業後にエミレーツ航空に入社。2年間の乗務の後フィンエアーに転職。現在はフィンランドに在住し、日本人客室乗務員として日本線とヨーロッパ線、フィンランド国内線を担当している。2020年より北欧フィンランドの暮らしを伝えるYouTubeチャンネルを運営している。

 

instagram:@sayaka1215x

youtube:Sayaka Kozawa

shop:lilja_vintage