2021/03/14 16:05


このコラムでは「私の北欧での暮らし。」 をテーマに、実際に北欧での暮らしを経験した方々の気付きをお届けしていただきます。


一人目はデンマークに留学経験をお持ちのRionaさんにお願いしました。

最後のコラムは教育機関「フォルケホイスコーレ」での体験について。

沢山のお写真と一緒にぜひ留学している気分で読んでいただきたい内容です。




人生に隙間をくれた「フォルケホイスコーレ」



デンマーク留学の最後の5ヶ月間は、フォルケホイスコーレという大人のための全寮制の学校で過ごしていました。


フォルケホイスコーレとはデンマーク発祥の教育機関。

テストや成績などが一切なく、民主主義思考を育てる場であることが特徴です。


このような学びの場がうまれたデンマークという国の「学び」や「遊び」の価値観を肌で感じてみたくて、入学することを決めました。


デンマークに70校ほどあるフォルケホイスコーレの中から私が選んだのは、大きな湖のほとりにある学校。


インターナショナルの生徒を受け入れている学校の中でもデンマーク人の割合が多く、豊かな自然の中でアートやアウトドアの授業を受けられることが魅力でした。


高校を卒業してすぐにギャップイヤー(※)を取って入学してきた人や、大学や仕事を一度休んで自分の人生を見つめ直そうとしている人、家族から離れて自分のやりたいことに挑戦したい人など、

多様なバックグラウンドを持つ17歳〜30歳の生徒や先生たちと、一つ屋根の下で暮らしを共にした日々を少し振り返ってみたいと思います。


※ギャップイヤーとは

大学への入学前や在学中、卒業後に就職するまでなどの期間に休学をする制度。留学やインターンシップ、ボランティアなどの社会体験活動などで見聞を広めることが多いです。




朝起きると、ダイニングホールで朝食をとり、みんなで学校中の掃除をしてから1日が始まります。


まずは、Morning Assemblyという朝の集会。

先生や生徒が毎朝1人づつ、人生の経験や関心のあるテーマについて前で話すのを聞きます。そして、入学時に1人1冊ずつ用意された分厚いSong Bookの中から曲を選び、生伴奏と共にみんなで歌うのが日課でした。


そのあとはそれぞれ選んだ科目ごとに分かれ、授業が始まります。


授業はどれも刺激的で、遊びに溢れていました。

「Outdoor」の授業では、森で火起こしをして、寒中水泳をしてから移動式サウナで人生を語ったり。

「Change Makers」というリーダーシップやチームビルディングなどについて学ぶ授業では、人生初のヒッチハイクやダンプスターダイビング(ゴミ箱を漁って食糧を探す)経験などもしました。


他にも、「Music Garage」という授業で組んだバンドで演奏を披露したり、陶芸やキノコ狩り、カヤックの授業などもとても記憶に残っています。




目隠しをして、水の上の橋を渡る”異文化理解”の授業も。



そして、こんな面白い授業たちにも負けないくらい印象的なのが、日々の「何もない時間」だったりします。授業のない時間や週末には、Hygge(ヒュッゲ)を合言葉に数々のアクティビティが至る所で繰り広げられていました。


・Movie Night (布団と枕を持参して映画鑑賞)

・深夜まで続くボードゲーム

・本気の仮装パーティ

・Bonfire(焚き火を囲んで歌ったり、対話したり)

・突如始まるアート活動

・太陽の下で寝そべって瞑想

・編み物や陶芸

・バドミントンやバレーボール

・音楽室でセッション

・ハンモックで読書やお昼寝

・芝生にマットレスを広げて、ピザを片手に歌ったり踊ったり


などなど。思い返せば、フォルケホイスコーレでの日常は、今の非日常ばかりだったなあと感じます。


“グループハグ”






学校だけど、学びと遊びと暮らしとが混ざりあっている。

多様な人との「対話」の中で、気づけば自分自身と深く向き合っていて、感覚を研ぎ澄ますような経験。


そんなフォルケホイスコーレで過ごす中で、私の人生に「隙間」がうまれたような気がしています。

早く次の進路を決めて進まないと・・と焦っていた自分の肩の力を抜いてくれたような時間でした。


せわしない日々の中でも、ちょっと立ち止まって、深呼吸して寝そべって。

ふと視線をずらした先に偶然見つけた「隙間」を覗けば、

意外な「おもしろい」が転がっているかもしれないなと、今はそんな風に思えるようになりました。



バスでschool tripに行ったときの1枚。

寮のグループに分かれて衣装を準備し、チーム対抗のスポーツ大会!


movie night!学校のホールに枕やマットレスを持ち込んで映画をみました。





このコラムを書いてくれたのは



Riona

 

1997年生まれ。東京外国語大学国際社会学部在学中。可能性を広げる遊びの探究と、遊びでデザインする学びの場づくりを手がける団体「P L A Y B L E」代表。昨年は大学を休学し、デンマークへ留学。3つの幼稚園でのインターンや、2つの家庭で住み込みのベビーシッター、デンマークのフォルケホイスコーレに滞在しながら、「遊び」や「余白」の価値観に触れる。

 

instagram:@rionaloha

P L A Y B L E:https://play-ble.studio.design/